がんになっても 普通に生きる

がんについての理解 そしてがん患者への誤解をなくすために

最悪の事態に備えて情報収集

がんかどうかわからない検査中の時期は、何も考えたくないと思う人の方が多いようです。周りに問いかけても、考えるのはわかってからでいいという人が大半でした。ただ「もしも」に備えて考えたり、情報収集をしておくと、告知時でのショックが少なくなることも事実でした。私のようにがっつり調べなくても、「大丈夫だと思うけど、少し調べておくか」くらいにとらえて、少し向き合えればいいのかもしれません。

 

乳がん患者の情報収集(2015年3月号掲載)

私がこれまで比較的冷静に病気と向き合えたのは、良い医療者との出会いに加え、自身も病気について勉強してきたからです。

私は精密検査の途中から、がんかもしれないと思えてきたため、情報収集を始めました。その時は、「初期だし、おとなしいがんだし、ちょっと切って終わる」くらいの気楽な気持ちでしたが、調べていくと、そんな単純なものでもないことがわかってきました。

私のようにしこりを作らないタイプのがんは、放射線状に広がる乳管の中を進展していくため、その進展具合で全摘せざるを得ない人もいることを知ったからです。最近はもっとステージが進んだがんでも部分切除で済むことも多いだけに、超初期なのになぜ全部切らなくてはいけないのかと、みなショックを受けるといいます。

私もその事実を知って、「これは厄介なことになるかもしれない」と焦りました。全摘になったらどうするか、再建するのかしないのか、再建するならどんな方法?頭をいろんなことが駆け巡りました。

初めは「もう若くもないし、胸の一つくらいなくなっても・・・」とも思いましたが、「ジムでの着替えは?」「旅行で温泉に入れない?」「普段身につける下着は?」そんなことを考えていくと、やっぱり嫌だと思えてきて、再建についても調べ始めます。この時初めて、女性にとって胸はいかに大事なものかを実感しました。

それにしても告知前の、まだがんだと言われたわけでもない時期に、なぜそこまで調べたのか。私も当初再建については、その時に考えればいいと思っていました。けれど患者ブログを読んでいると、告知を受け全摘と言われたあと、再建方法を短い期間で考えなくてはいけなかったという記述が多く出てきたのです。

全摘することのショックが和らぐ間もなく、どんどん治療法を決めていかなくてはいけない現実があるならば、悪い事態を想定してある程度調べておこう、そう考えたのです。

がんという病はまだわからないことも多く、患者はもやもやした中で選択を迫られます。長く積み重ねられ、効果が科学的に証明されている標準治療はあるものの、一人一人の病状やその人の生活、考えによって治療法は変わるからです。この一長一短ある治療の選択はとてもしんどいことで、時に誰かに任せたくもなります。そんな中で必要なことは、自分の望みを明確にすることと病気の知識を持つことです。

治療法を知り、自分の希望を伝えた上で医療者とよく話し合い、再度自分で考える、そういう過程を経てようやく納得できる選択ができます。がんは病状の重さに関わらず、どう生きたいのかを突き付けられる病です。けれど希望だけが先行すると、自分に都合のいい誤ったがん情報に逃避してしまいがちです。だからこそ正しい知識も必要なのです。

とはいえ、素人が山ほどある情報の中から的確なものを探し出すのは難しいことです。次回は、ネット時代における患者の情報収集について書いていきます。

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さかゆうプロフィール

さかゆう

さかゆう

しゃべり手 たまに書き手。 ネット問題に取り組む消費生活アドバイザーでもある。母親を希少がんで亡くし、自身も 2014年に乳がん発覚。手術を行い 現在経過観察中。