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先進医療ってどんな医療?

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先進医療に対して誤解をしている人は多いのではないでしょうか。私も医療について勉強するまでは、「何だかよくわからないけれど、一番進んだ医療」というイメージを持っていました。言葉のイメージは大きいものです。世間一般が持つ意味合いと実態が合致していないと、誤解も多くなります。

また、がん保険が最近よく「先進医療も受けられます」などと宣伝していることも、お金があれば受けられる医療というイメージを作り出している気がします。保険というのは確率論で保険料が計算されていますから、みんながどんどん利用できるものなら、当然採算が合いません。ということは誰でも希望すれば受けられる医療ではないということがわかります。実際先進医療を受ける患者の割合は低いものです。イメージに惑わされず、実態を知ることが何より大事だと思います。

 

先進医療と標準治療(2015年12月号掲載)

医療には「先進」だの「標準」だのという治療があり、患者にはわかりにくいところがあります。たとえば先進医療。先進といわれると、何だか一番進んだ治療のように思えますが、そうではありません。

先進医療とは、まだ有効性が証明されていない研究段階の医療の中で、厚生労働大臣が承認したものをいいます。治療そのものには保険が適用されませんが、それに伴う診察や検査など、通常の治療と共通する部分には保険が使えます。10月1日現在で、107種類が承認されています。

そしてこの中から、有効性が確認でき、かつこれまでの標準治療よりも効果が高いことが明らかになれば、その先進医療が標準治療となります。このように先進医療は標準治療に至らない治療法で、取り消しになるものもあります。

ですから今の段階で最善とされている治療は標準治療と称されるものなのですが、標準という呼び名のためか、普通の治療、一般的な治療というイメージを持ってしまい、もっと他の良い治療法はないかと探し回る人も出てきます。手術も抗がん剤も怖いので、何とか避けたいという願望も手伝っているのだと思います。

そうしてネットを見ると、「最新」だの「副作用なし」だのという言葉が医療機関のサイトに踊り、惑わされます。私もこれらのサイトをいくつも見てみましたが、「治療法の根拠」「治療実績」「担当医師の経歴」など、患者がつい試してみようかと思える内容が並んでいます。

国立がん研究センターの後藤悌さんの論文によると、ヤフーとグーグルで「肺がん」と検索したら、上位50位までに出てきたもののうち、正しい治療法を紹介していたサイトは5割以下、そして約1割は広告だったそうです。

私はがんについてよく検索するので、検索したキーワードに連動して表示されるリスティング広告は、がん治療のPRであふれることがあります。向こうから宣伝してくるサイトは論外ですが、藁をもつかむほど追いつめられたがん患者なら、こうした宣伝文句にもつられてクリックしてしまい、引き付けられることがあってもおかしくありません。

高齢者詐欺の啓発では、「ともかく知らない人からの電話は、すぐに切ること」を勧めています。相手は騙しのプロ、話せば話すほど騙されるからです。同様にがん患者も、むやみにネットでいろんな治療法を探らないことです。読めば読むほど引き付けられます。

それでも気になる治療法を見つけてしまったら、まずはシンプルに保険適用かどうかで判断することです。それだけでもとんでもない治療法は避けられます。

さらに保険適用外でも新しい治療にかけたい思いが強いなら、今の担当医にその治療について解説してもらうことです。検討に値する治療法なのか、治療効果はどれくらいなのか。そうした材料が出揃って初めて、挑戦する、しないを悩める段階になります。

まずは標準治療、その後の選択は、試す価値のある治療法があるのかないのか、その見極めからなのです。

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