がんになっても 普通に生きる

がんについての理解 そしてがん患者への誤解をなくすために

質問力とネット窓口

自分の病気について尋ねるためには、「何がわからないか」をはっきりさせなくてはいけません。もし「何かわからないなあ」という状態ならば、この「何か」を明らかにする必要があります。けれどそれは面倒なので、あいまいな状態のまま、新しい情報を積み重ねてしまい、わからないことが増えていきます。「何かわからない」は早めに解消させておきたいところです。

「書き出す」という作業は、そうしたぼんやりした状態を整理する時に役立ちます。思いつくまま書きなぐっているうちに、知りたいことの本質が見えてきたりします。そこから質問したいことだけでなく、医療者に伝えたいことも明らかになります。もやもやした思いがあるなら、一度書くという作業をやってみてもいいかもしれません。

それから、医療者とうまくコミュニケーションがとれるようになったあとにも、案外質問力は落ちたりします。雑談に終始して、肝心なことを聞いていないということが起こるからです。私は仕事でインタビューを行う時、わざと雑談に交えて核心をつく質問をすることがありますが、これは頭で計算し尽して行います。雑談しながら聞きたいことを聞くというのは、実はとても難しく、スキルが必要なことなのです。「楽しく話す」と「きちんと聞く」。親しく話しができるようになったあとは、この区別も大切になると思います。

そして最後に書いた「医療のネット窓口」について。広まっていくには様々な壁があると思います。それにしてもこんな大変なことをさらっと行っている私の主治医はすごいなといつも感心しています。広めるためには、医療制度のもと行えるようにしなければいけません。どんな制度にするのがいいのか、ネットが生活の一部になりつつある今、そろそろ検討されてもいいのではと思います。

 

『「主治医に質問」むしろ歓迎』(2016年2月号掲載)

みなさんは診察を受ける時、医療者に遠慮なく質問ができているでしょうか。

がん治療は、馴染のない医療用語もたくさん出てきますし、何より患者が冷静な状態でないことも手伝って、聞きたいことが聞けなかったり、もう一つわからないまま診察室をあとにすることも多くなりがちです。

昨年「乳がん患者の集い」に参加しました。参加者は長く闘病生活を続けている人が多い印象で、会場内には、抗がん剤治療をされているのでしょう、ウイッグをつけている方も目立ちました。医師による教育講演や患者体験談があって、最後は参加者からの質問に答える時間が設けられていました。

そこで意外に感じたのは、初歩的な質問をされる方が結構いたことです。中には「今、私は○○という薬を飲んでいますが、これはどういう効果があるのでしょう」といった、本来診察室で尋ねるべきことを質問している人もいました。

時間の限られる外来で、聞きたいことを聞くことは確かに難しいことです。仕事柄、人からお話を伺う機会が多い私でも、患者として自分自身のことを聞くとなると、少し遠慮が伴います。

「忙しそうなので質問をあきらめる」「こんなことを聞いて医師は気分を害さないか気になる」「医師と距離を感じ萎縮してしまう」「何から話したらいいのかわからない」など、医療現場には独特のコミュニケーションの壁があります。

これらの壁に負けないために患者ができること、それは事前に聞きたいことをまとめることです。とはいえやっている人は少ないのではないでしょうか。聞きたいことを事前に整理するのは面倒ですし、事前にまとめなくても聞ける気がするからです。でも実際には雑談はたくさんしたのに、肝心なことは聞けていない、そんな人も多いと思います。

やはり面倒でも事前に質問を考えることは必要なのですが、中には聞きたいことがはっきりしない人もいるでしょう。そんな人にはまず、質問項目を思いつくまま書き出すことを薦めます。こうすることで頭の中が徐々に整理され、質問もまとまっていくからです。そうして出尽したら、質問項目を聞きたい順に並べます。1回の外来ではそんなにたくさんの質問はできないので、上位3つくらいをメモにして臨みます。

初めに「今日は聞きたいことが3つあります」と伝えておくと、途中話が脱線しても医師が軌道修正してくれるはずです。それでもうまく聞けないという人は、質問メモを渡してしまえばいいのです。

「あれこれ聞くと嫌われるのでは?」と患者は思いがちですが、良心的な医療者なら、質問を歓迎してくれます。患者がどんな疑問や不安を持っているかがわかれば、医療者も対処しやすくなり、思いの掛け違いもなくなるからです。どんどん遠慮せず質問したいものです。

とはいえ外来での時間不足はやはりネックです。私の主治医は、病院のフェイスブックで患者からの質問を受付けていて、利用している患者は多いと聞きます。私も次の診察日まで待っていてもいいだろうかと悩む症状があって利用しましたが、こうしたちょっとした質問ができる窓口は、患者にとってはありがたい存在です。

今医療のネット相談サイトが増えています。診察を受けたことのない、知らない医師に質問をする人が多いのは、文字でなら遠慮なく質問ができるという患者側の心理も反映しています。

けれど本来は自分を診てくれている医師に相談できることが一番です。質問下手な患者や診察時間の短さを補完するネット窓口が、普段の診療にうまく組み込まれていけば、患者と医療者の情報や思いの食い違いが、もっと解消されるのではと思います。

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さかゆうプロフィール

さかゆう

さかゆう

しゃべり手 たまに書き手。 ネット問題に取り組む消費生活アドバイザーでもある。母親を希少がんで亡くし、自身も 2014年に乳がん発覚。手術を行い 現在経過観察中。