がんになっても 普通に生きる

がんについての理解 そしてがん患者への誤解をなくすために

Home » 未分類 » リンパ浮腫の予防

リンパ浮腫の予防

calendar

9月に行われた「兵庫乳がんの輪」でリンパ浮腫について学びました。リンパ浮腫とは、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がんなどの治療の後遺症の一つです。リンパの流れが停滞し、腕や脚がむくんだ状態になります。

リンパ浮腫は、手術でリンパ節を取った人や放射線治療を受けた人、腋のリンパ節にがんの転移がある人がなるとされますが、まれにセンチネルリンパ節生検(リンパ節にがんが転移しているかどうかを調べる生検)をした人にも起こることもあるようなので、治療を受けた人は誰もが知識として知っておいた方がいいようです。今回は予防という観点でまとめてみました。

発症時期は、治療から1年以内が3割、5年未満が6割と、5年までに発症する人が9割ですが、中には30年後になったという方もいるようで、5年経ったから安心とは言い切れないところがあります。

発症要因は局所炎症が最も多く4割です。局所炎症の要因は、けがややけど、重度の虫歯、虫刺され、過度の日焼け、園芸作業、ペットとの触れあい、水虫などです。そして風邪など全身の炎症と疲労がそれぞれ2割と続きます。

リンパ浮腫は、長い期間放置していると、皮膚が伸びきって治療効果が得られにくくなるため、できるだけ早く治療を受けることがポイントです。そのためにも患者は早く変化に気づかなければいけません。

中指の真ん中をつまんでみて、つまめないことが増えるというのも兆候ですし、手の中の血管の見え方が悪くなる、肘を曲げて左右で曲がり方に違いがある、正座がしにくい、なども見つける手がかりになります。ただ、調子がいい日と悪い日があって、またそのまま悪くならない人もいるそうなので、こうした変化では自己判断が難しいところはあります。

一番はやはり面倒でも、定期的に計測をすることです。計測は1か月に1度くらいのペースで、同じ姿勢、同じ時間帯で4か所行います。腕ならば、手のひら、手首、肘から上10cmと下5cm。足なら脚の付け根と、膝の上10cmと下5cm、足首と足です。左右差が1cm以上あれば浮腫が疑われます。ちなみに体重が増えると当然太さも変わり、浮腫を悪化させる要因になるため、肥満にも気をつけなければならないようです。

また放射線治療をしたところは、優しく洗って清潔にし、そのあと保湿も行うのが良いとのこと。入浴5分以内に保湿剤を塗ると効果的だそうです。まとめると、セルフケアと肥満の防止、そして早めに気づく、これが3大予防になります。

ところで私がこの講演を聞いて、これら浮腫の情報と同じくらいに、大事だと思ったことがあります。それは「医療情報は、どんどん変わっていくものなので、常に情報の更新を」という言葉でした。

たとえば、神鋼記念病院では以前、リンパドレナージと呼ばれるマッサージは予防効果があるとして、これまで該当者全員にDVDを配って指導されていたそうですが、今は止めているとか。それはリンパドレナージに予防の根拠がないという研究結果が出たためです。

医学は日進月歩です。患者も古い情報に縛られず、アンテナを張って、情報の更新をしていかなければと思います。

 

この記事をシェアする

コメント

コメントはありません。

down コメントを残す




関連記事