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コミュニケーションの原点はとてもシンプル

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ある番組に、アナウンサーとロボットが会話するコーナーがあるそうで、先日そのコーナーをいつも見ている知り合いから質問されました。「普段は上手なアナウンサーなのに、このコーナーの時だけはロボットと声がかぶったりして、やり取りがスムーズじゃないのだけど、あれはやりにくいものなの?」

会話の際、ロボットと人が大きく違うのは、視覚情報です。人が相手なら、口の動きや息づかい、表情などでまだ話すつもりかどうかが判断できます。ところがこうした情報がないロボットではそうはいきません。そのためもう話し終わったかなと、こちらが言葉をはさもうとするとまだ話が続いたりなど、ちぐはぐなやり取りになってしまいがちです。

この例からも、会話において目から得る情報はとても重要であることがわかります。目の不自由な方はその分ご苦労も多いのだろうなと改めて気づかされます。

さて、コミュニケーションが上手な人を観察すると、やはり必ず相手をしっかり見ています。私の周りにも異業種の達人が2人います。

1人目はジムの女性インストラクター。トレーニング中の声掛けが絶妙なのです。「あ~しんどい、もう無理!」そう思った瞬間、「今が一番しんどい時、頑張れ~」と声が飛んできます。「え!私の心の声がなんでわかったの?」何度そう思ったかわかりません。常に大勢の生徒の様子を観察して、必要な時に必要なタイミングで気持ちを代弁するかのような言葉が投げかけられます。

また「ぎゅっと、ぎゅっと、もうひといき、ぎゅぎゅーっと!」こんな声をかけられながらトレーニングをしていると、心がサボろうと言ってきても、体が自然ともうひと踏ん張りしてくれるから不思議です。

そしてもう1人は、よく行くコーヒー豆店の店主です。この方は、どんなお客さんに対しても分け隔てなく優しく丁寧に対応ができます。中には買うつもりはなく、豆の話だけを聞きに来たという人もいましたが、それでもいつも通り丁寧に。また先日などは少々認知機能が衰えた年配の方が来られていましたが、繰り返される質問に、これまた穏やかに何度も答えておられました。

「そんなこと当たり前」と思う接客業の方もいると思いますが、ここまで徹底している人はそうはいません。お客さんがたくさん来た時でも、忙しく動きまわりつつ、1人1人の対応は丁寧なままなのですから。余裕がない時にこそ、その人本来の姿が出るものだけにいつも感心します。

そしてやっぱりこの方も相手の顔や様子をよく見ています。決してしゃべるのが得意なタイプではないのに、相手をしっかり見て、さらに相手の思いを汲み取ろうとされているから、こんなに良いコミュニケーションが取れるのです。

人とのやり取りは、目の前の人が何を言いたいのか、何を求めているのかを探ろうとする気持ちから始まります。そのためにはまずは相手を見なければなりません。けれどもコミュニケーションが苦手という人は、見事に相手を見ようとしません。まずやるべき「見る」ということがそもそもできていないのですから、相手はロボットとやり取りしている気分になってしまいます。

コミュニケーション能力がやたらと求められる時代ですが、その原点はとてもシンプルです。口下手でも人見知りでも、向き合おうと思いさえすれば、きっと苦手の壁は乗り越えられるはずです。

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