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思いがけず入院前にエンディングノート

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保険会社に勤める知人が、「1人暮らしの人が多くなったので、亡くなったあと宙に浮く保険金が増えて・・・」と嘆いていました。当然、身内探しをするそうなのですが、苦労してやっと探し出したと思うと、今度は親族のもめ事が起こるなど、本を一冊書けるほどの人間模様が見られるのだとか。

私の父も1人暮らしが長かったため、亡くなる2年ほど前からは、私もできるだけ財産関連を含め、生活実態をつかむよう努力してきました。

父は父で衰えを感じていたようで、その数年前から家の権利書の在り処や、入っている保険など、娘に知らせておかなければと思うことを伝えてくれてはいました。けれど父の頭からはすっかり消えてしまっている細かなことも多く、実家を訪ねると、思いがけない連絡がきていて慌てることもよくありました。

いつだったかも、カード会社から年会費のお知らせが届いていて、見ると全く使っていないクレジットカードの高い年回費をずっと支払っていたことが判明しました。慌てて解約の手続きをしましたが、こうしたことがいろいろ出てきて、これから迎える自分の高齢期についても頭をよぎるようになりました。

そんなところへ病がわかり、手術することになったのです。信頼している先生にやってもらうとはいえ、全身麻酔は思いがけないことも起こり得るもの。父の身辺整理をしていた時だけに、この際だから万が一に備え自分の整理もしておこうと、まずは家族に知らせる必要がある、私しか知らない口座について書き出すことにしました。

実はネット口座が一つあって、これには通帳も何もないため、私がいなければ、その存在自体が忘れられかねないからです。そこでこの口座の扱いから書こうとしたところ、口座操作云々の前に、私のスマホの暗証番号から教えなければいけないことに気付き、気が遠くなりました。「そこからかあ!」思わず叫んでしまいました。その上ネットでの操作だけに、厳重に鍵をかけていたので、その説明をネットに強くない人がわかるよう文字にするのも、めんどう極まりないことでした。

こうしていろいろ書き出していくと、まさにエンディングノートもどきになっていきました。

どんな人も、きっと身内に伝えなければいけないことがたくさんあることでしょう。それだけに、不慮の事故など、突然本人と意思疎通ができなくなると、残された家族は戸惑うことだらけになります。

ネットが生活の一部になっている人が多い現代では、家族でも知らない世界が増えています。私などはネット問題に取り組んでいるので、利用サイトが山ほどあって、その上そのほとんどのパスワードを変えているので、その管理は自分でも大変です。

ちなみに、事前にこれだけ準備していたにもかかわらず、入院中にやる予定のなかった作業をせざるを得なくって、仕方なくスマホでやろうとしたらパスワードがわからず、家族の手を煩わせてしまいました。

人間いつ何が起こるかわかりません。病気であろうとなかろうと、高齢であろうとなかろうと、定期的に身辺を整理し、誰かに託せる状態にしておく必要があります。エンディングノートというと縁起が悪いと思う人もまだいますが、もはや現代人の嗜みなのではと思います。

私も思いがけず作ったエンディングノートもどきを、これからきちんとしたものに仕上げていきたいです。

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