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大丈夫でしょうか?あなたの住まいのがん検診

time 2017/10/03

大丈夫でしょうか?あなたの住まいのがん検診

10月の「ピンクリボン月間」にちなんで、9月29日、神戸市のホームページの市民検診のページに「乳がん啓発ムービー」がアップされました。女子サッカーのINAC神戸レオネッサの4人の選手が出演する30秒の動画。

「特に多いのが40代から50代。30代も要注意です。」と訴えて最後は検診を勧めます。「30代も要注意」はテロップで強調もしています。私はこの「30代も要注意」に大きな疑問を持ちました。

34歳で亡くなった小林麻央さんの報道で、「若くても乳がんになる」というイメージが高まりました。けれど乳がんは40代から急激に増える病気です。それはデータを見ても明らかです。

2013年新たにがんと診断された人のうち、30代ー4.7%  40代ー19.7% 50代ー19.9%(国立がん研究センターがん対策情報センターの統計データより)

このため国が推奨する乳がん検診の対象は40歳以上です。とはいえ「30代でも4.7%の人がなっているのだから検診しなくては」と思う方もいるでしょう。家族性や遺伝性があり、年齢が若くても検診が必要な人もいますが、そうしたリスクがない30代は検診を受けても見つかることが少なく、逆にデメリット(若い人の乳房はマンモグラフィーでは発見しにくく、がんではないのに要精密検査となり、精神的なダメージが大きいなど)の方が多いため推奨されていないのです。

そうした背景があるにもかかわらず「30代も要注意」と訴えるのは、いたずらに不安を煽ることにもなりかねません。

こうしたことは神戸市だけの話ではないのです。市区町村が行うがん検診には、疑問を持つ内容のものがたくさん存在します。

住民検診は市区町村が費用を一部負担して行っています。税金が使われているわけです。そこで厚労省はがん検診の効果(死亡率減少)に対する評価を行って指針を出し、市区町村の事業もそれをもとに行うよう勧めています。

現在指針で定められているがん検診は、肺がん、大腸がん、胃がん、子宮頸がん、乳がんの5つです。この5つの検診は実施することで死亡率が減少することがわかっているものです。

指針には対象年齢や受診間隔も明示されています。肺がん、大腸がんは1年に1回。その他は2年に1回。子宮頸がんは20歳以上。その他は40歳以上を対象にしています。(胃がんは基本50歳。エックス線検査に関しては40歳以上も可。また1年に1回も可)それなのに、指針に沿わないがん検診を行っている市区町村があることが、厚労省の調査で明らかになっています。

まずは対象年齢。指針以外の年齢で実施している市区町村は28年度の調査では乳がんが最も多く(38.5%)次いで胃がん(35.4%)です。

次に検診対象でない部位での実施。特に前立腺がんの検診(PSA検査)が目立って多く80.4%にのぼります。前立腺がん検診は効果が不明であること以外に、過剰診断の不利益も問題になっています。そうした説明もした上で実施しているのでしょうか。

そして検査項目です。指針は新しい評価が出てくると改正されます。新たな検査が加えられることもあれば、削除されることもあります。平成28年度の改正では視触診(乳房をさわり目視して検査)が乳がん検診から削除されました。この変更に対し、やめる時期にばらつきがあるのはともかく、「視触診をやめる予定なし」と答えている市区町村が22.5%あることに驚きます。これはどう理解すればいいのでしょう。「必要」だと考えている医療界の重鎮がその市区町村にいるのでしょうか。

住民検診には公費が投入されています。だからこそ国はその効果を科学的に検証しているわけです。指針に異議があるのならきちんと議論すべきであって、それをせず独自のやり方を変えないというのは住民にとっても不幸なことです。

検診は受ける側の体や心に負担もかかります。検診を受ければがんが必ず発見できるわけではないだけに、受ける限りは、せめて現時点で最も効果があるとされるものを受けたいと住民としては思うからです。

がん検診は何のために行い、指針はなぜ出されているのか。まずは市区町村への教育から始める必要があるようです。

ここまで読んで「私は職場で受けているから関係ない」と思っている方もいるかもしれません。でもその職場での検診はもっといい加減だということをご存じでしょうか。それについては次回。

 

(参照)

・平成28年度「市区町村におけるがん検診の実施状況調査 集計結果」

 

 

コメント

  • 今日、悪性腫瘍の切除術後の経過もよく退院してきました。半年で再発3回目の手術・入院となると看護士とも顔なじみになっており、患者扱いされずに自立した入院生活でした。残念ながら「多発しやすいがん」なので2回までは期待どおりの治療効果は得られず後戻りしてしまいました。2週間後には病理検査結果で今後の治療方針が決まると思います。早期発見・治療できていればと思うのですが、限られた予算や経費の範囲で実施される職場や地域の健康診断では癌を早期に発見するのは難しく、生活習慣病の予防とした肝機能や尿検査それに血中脂肪などの異常値を検査して改善することを目的としており、癌を早期に発見するには癌に応じた検診を受ける必要があるとも言われています。自分の治療の今後どうなるかについては、標準治療に則って実施するはずなので、標準治療は?と言う疑問で色々ネット上で調べたけど、先が見えて不安になることが多々ありました。
    ・この病気は何?
    ・どういう治療をした?
    ・治療は効果あった?
    ・治療の痛みは?副作用は?
    ・治療後次のステップは?
    様々ながんに対する基本的知識から治療方法まで経験者のブログや学術資料から情報を読み取り自分に合った治療や希望に沿った治療を見つけて、主治医に自分の考えを伝えてしっかり判断してもらうほどの信頼関係が築けるのかは大変な労力が伴います。「がん」と聞いて大半は医師の判断に従うことが多数ではないでしょうか。知人の奥さんはセカンドオピニオンを切り出して主治医との関係がうまくいかなくなったと聞きました。
    (私の場合は妻や看護士の娘が同席して小心でものが言えない私を助けてくれます。)
    これから、精神的・肉体的にも大変な治療が始まることになります。
    まずは、2週間後の病理検査結果で転移なく悪性腫瘍の切除による根治治療となっていることを望みます。また、納得のいく治療により、5年先を目標に経過観察のスタートラインに立てることを目標に頑張ります。

     さかゆうさんの辛口なコメントが、がんサパイパーにとってこの季節にピッタリ「気持よくて心まで軽やかになる暖かさ」のブログ更新を無理せずに続けてください。楽しみにしております。
    今後とも、「永遠の美笑少女」の益々のご活躍を祈っています。

    by 田中 重雄 €2017年10月18日 5:18 PM

    • 田中さん、手術が無事に済んで、順調に回復なさっているとのこと、とても嬉しく思います。とはいえまだまだ心配なことが多いですね。特に病理検査の結果待ちの時期は、落ち着かないことだと思います。どうぞ良い結果になり、このあと経過観察でいけるよう心から祈っております。

      検診は万能ではないし、効果のあるがん検診を受けたとしても、みつかるとは限らないですから、田中さんが早期発見できなかったのは誰のせいでもないと思います。
      がんは今の医療で完全に治せるものではないので、よく確率が持ち出されます。でも、自分が当たって?しまって、本人にとってはどんな確率でも関係ないんだということを知りました。そういう一般論と当事者との間には、暗い闇がありますね。
      とはいえ、これをやれば○%効果が上がるという研究結果を基にするしかないだけに、患者はもやもやした気持ちながら選択していくしかありませんね。
      それが今のがん治療なので、利益と不利益を天秤にかけながらよりより選択ができるよう、納得するまで主治医と話し合ってくださいね。

      田中さんは、ご家族の助けもあって、主治医とうまくコミュニケーションを取れておられるようですが、主治医がどんな人かによって、その後の治療効果も変わりますよね。
      お知り合いが、セカンドオピニオンを望んで主治医との関係が悪くなったそうですが、今時、そんなことで気を悪くする医師なら、変えたほうがいいと思います。がん治療は主治医と長くお付き合いすることになるだけに、良い関係が築ける医師とつながっていたいものです。

      でも、気の合う医師と出会うかどうかが運任せというのはやりきれないところはありますね。患者と医師のマッチングをするサイトも出てきているので、患者が事前に選びやすいシステムがもっと進んでいけばとも思います。
      でも患者側が心を開くことも大事です。田中さんも遠慮なく聞きたいことを聞いてください。良い医師は質問には喜んで答えてくれるものですから。

      半年で3回も手術なんて、私には考えられないことですが、ここまでよく頑張ってこられましたよね。今回の手術が成功で、このあとほっと一息つけますように、ただただ祈っています。

      by さかゆう €2017年10月19日 3:00 PM

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さかゆうプロフィール

さかゆう

さかゆう

しゃべり手 たまに書き手。 ネット問題に取り組む消費生活アドバイザーでもある。母親を希少がんで亡くし、自身も 2014年に乳がん発覚。手術を行い 現在経過観察中。