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ネット情報の危険性と可能性

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ネット情報の危険性と可能性

ネットの医療情報の半分以上は間違った情報という研究結果もあります。見れば見るほどすべて正しいと思えてくるから厄介です。どこに注意すればいいのか、今回は少しだけ触れています。とかく問題視されるネット情報ですが、ネットだからこそ伝わることもあります。そんなこんなを書いたコラムです。

 

情報の発信元確かめよう(2015年5月号掲載)

今やがん情報もネットで探す人が多くなっています。そこで今回はその注意点と課題、そして可能性について書いていきます。

ネット情報でまず意識しなければいけないのは、その情報を出しているのはどこかということです。がんと判明してすぐに役立つのは、国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービスのサイトなのですが、こうした公的機関の出す情報は科学的根拠に基づいたものです。けれどネットには、何かを売る、或いは宣伝する営利目的の情報も多いので、情報元には敏感にならなければいけません。

そこさえ注意すると、正しい基礎情報は比較的得やすいのですが、自分の症状に合った詳しい、または新しい情報を知りたいと思うと見つけるのに苦労します。がん治療は年々進歩していますが、ネットでさえ、その進歩に合った更新がされていないからです。

また医療者向けのものは多いのですが、患者向けに書かれた最新情報は少なく、その上数少ない情報もバラバラに存在しているため、患者はあちこち探さなくてはいけません。乳がんなどは前回ご紹介したように、比較的一か所に集約されてはいますが、がん全体で見ると、情報が整理されているとは言えません。

科学的根拠に基づいた新しい治療法、あるいは研究結果を知りたければ、今のところ海外情報を読むしかないのが現状です。けれども日本語に訳されているものはまだ少なく、原文で読まなくてはいけないため、一般の者にはハードルが高くなります。

告知の際に、「ネットならば、ここを」と医師が案内できるサイトがあって、最新情報や要注意情報が常に更新されるようになれば、怪しい治療に惑わされる患者も減ってくるはずです。

こうした課題も多いネット情報ですが、一方で、個々に情報を流す現役の医師が出てくるなど新たな動きもあります。私の主治医も病院のフェイスブックで患者に伝えたい情報を発信しています。

また、宮崎県の腫瘍内科医が書いている「がん治療の虚実」というブログも、医師の思いや治療体験が書かれていて勉強になります。この著者は読者のコメントにも丁寧に答えていて、時に起こる熱いやり取りは、がん治療を考えるきっかけになります。

その他『「抗がん剤は効かないの罪』の著者で、『医師に殺されない47の心得』など多数のベストセラーを出す近藤誠さんに真っ向から反論している、腫瘍内科医の勝俣範之さんは、ツイッターやフェイスブックでもまめに発信していて、参考になります。

ネットを使ったリアルタイム発信は、医師と患者の垣根を低くしてくれます。もちろん医師だからといって誰でも信用できるわけではありませんが、多くの発言を追っていると、どの人が真摯に医療と向き合っているかがわかってきます。SNSなど、日々多くの言葉を紡いでいく媒体では、自然と人となりが見えてくるからです。

がん患者ときちんと向き合う現役医師の声が多く発信されるようになれば、がん治療の誤解や偏見も少なくなり、救われる患者も増えると期待しています。

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