がんになっても 普通に生きる

がんについての理解 そしてがん患者への誤解をなくすために

安易な治療アドバイス

私は当事者になって初めて、患者に安易なアドバイスをする人が多いことを知りました。特に体験していない人が、「新しくできたお店、よかったよ」というトーンで、自分がいいと思う治療を薦めてきたりすることに驚きました。何か役に立ちたいという思い、まさに「善意」でのことなのですが、その「善意」の持つ罪について一度考えてもらおうと書いたコラムです。と同時に、勉強を重ねてきた自分に対しての自戒も込めています。その人の思いを聞きながら、自分にできることを探してほしいし、自分もそうできればと思います。

 

『がん患者迷わす「善意」』(2016年5月号掲載)

先日の美容院でのこと。担当美容師さんが得々と芸能情報を語るのです。まるでその芸能人から直接聞いたかのように。「その話は何で知ったのですか?」話をさえぎり尋ねると、「ネット情報です。なので話半分に聞いてくださいね」と笑いながらも、さらに独演会は続きました。

こんな内輪での芸能話程度ならまだしも、医療に関しても、人は聞きかじり情報をさも正しいかのように語りがちです。ただ話すだけでなく、持論に従わせようとする人までいます。

以前にも少し書きましたが、がんを告白すると、自分がいいと思う治療法や健康食品などを押し付けてくる人がいます。「西洋医学だけではだめだよ」とか、「このサプリがいいよ」など、薦め方も強引だったりします。これがどれだけ罪なことか、一度考えてほしいのです。

そもそもあなたは「その病気についてどれだけ勉強してきたのですか?」「その人の病状を詳しく知っているのですか?」あなたが「強く薦める根拠はなんですか?」さらに、「それを薦めたことへの責任を、あなたは取れますか?」

よくなってほしいという思いからだとは思いますが、素人が薦める根拠の乏しい医療情報ほど厄介なものはありません。

きちんと治療を受け順調に回復している患者なら聞き流せるでしょうが、迷える患者なら間違った道に誘導される可能性もあります。そうなった時に、「責任を取れるのですか?」なのです。その人の治療を大きく左右するかもしれないのに、そのことに無自覚な人が多すぎるように感じます。

そしてこれはがん体験者も例外ではありません。体験していても、ともすると同じことをしてしまうからです。「ああ、それならこういう治療よ」「それはよくあること」「その治療はちょっとおかしいね」特に勉強を重ねてきた人が陥りやすいところです。

体験をし、勉強を重ねて知識が増えたとしても、患者は医師ではありません。同じがん種でも進行度やタイプは人それぞれ。体験したところで、勉強したところで、断言してはいけない複雑さがあることを、常に自覚しておかなければいけません。

また短絡的な情報も患者を苦しめます。たとえば「○○をすればがんにならない」といったもの。SNSでもそうした内容をくり返す人がいて、読んで不快になったことがあります。それでなくとも患者の中には、「これをしたからがんになったのだろうか」と自分を責め続ける人がいるだけに、追い打ちをかけないでほしいと思ってしまいます。

それからかわいそうといった思い込みも迷惑なものです。私はがんになって一度も不幸だと思ったことがないのに、勝手に不幸と決めつけられ、癒せる場所とやらを薦められたことがあって閉口しました。

治療の押し付け、安易な決めつけ、善意の押し売り、やってしまっていないでしょうか。周りの人たちに求めることは患者それぞれ違います。「がん患者」で一括りにせず、その人自身が必要とすることは何かを見てほしいものです。

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さかゆうプロフィール

さかゆう

さかゆう

しゃべり手 たまに書き手。 ネット問題に取り組む消費生活アドバイザーでもある。母親を希少がんで亡くし、自身も 2014年に乳がん発覚。手術を行い 現在経過観察中。