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検索サイトの広告表示 意識してますか

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スマホの「Yahoo!検索」で「〇〇がん」と検索すると、トップに国立がん情報センターの情報が表示されるようになりました。両者が連携することになったからです。

2016年に、医療系サイト「WELQ」が、不正確な記事や、他からの転用記事を量産して問題となりました。ネットの医療情報には怪しいものが多いことが、広く知られるきっかけにもなりましたが、それでも同様のサイトはその後もなくなりませんでした。

そうした中、「いい加減な情報は検索で、はじいていこう」という動きが、個人ブロガーから起こります。信頼できるサイトに絞り込んで、検索ができるシステムを作り、公開したのです。

その後、Googleも「医療や健康」に関する検索結果の見直しを行います。これによって、「NAVERまとめ」などのまとめサイトや、「Yahoo!知恵袋」などのQ&Aサイト、さらに「WELQ」のように記事を大量生産して広告収入を稼ぐタイプのサイトも順位を大きく下げました。代わって医療機関や製薬会社のサイトが上位に表示されるようになっています。

今回の「Yahoo!検索」の変更はその流れをくむものです。発表によると、改善したのはスマホでの検索ということですが、パソコンで検索してもスマホと同様、国立がん情報センターがトップに出てきます。これまで「がんと検索をして、国立がん情報センターがトップに出てこないのはおかしい」という声は、患者を中心に上がっていたので、「ようやくか」という思いがします。

検索はさまざまなワードを入れて行われるので、私もワードを変えて検索してみました。「〇〇がん」「〇〇がん 症状」などのキーワードで検索すると、確かに国立がん情報センターがトップに出てきます。ところが「〇〇がん 治療法」「○○がん ステージ4」「○○がん 完治」と入れると、これまでの検索結果と同じく、広告が表示されます。

例えば「乳がん 治療法」と入れると、2018年2月1日現在、広告は、スマホでは上位3つ、パソコンでは上位4つが広告です。本来の検索トップ情報である、国立がんセンターのものは、そのあとに表示されます。さらにページの最後の3つも広告です。広告に挟まれて自然検索の情報が出てくるわけです。

広告が出てきた検索ワード、「ステージ4」「治療法」「完治」などは、今の治療法以外で何かないかと探す人が、入力しやすいワードでもあるので、そこに広告が出てくるのはどうなのだろうと思います。

ちなみに今回出てきた広告のトップに、「免疫細胞療法」がありました。これは、科学的根拠のない治療だと問題視する医療者が多い治療法です。その他、広告には、「副作用が少ない」「医師も知らない乳がん治療」「再発がんにも効果が期待できる」など、治療法で悩む患者が飛びつきたくなる文言が並んでいました。

こうした広告が初めに出てくることに対して、ジャーナリストの岩澤倫彦さんは、「Yahooは詐欺的ながん治療に加担している」とFacebookで批判していました。

検索に連動して出てくる広告は「リスティング広告」と呼ばれ、クリックされるたびに広告費が発生するシステムです。そのため、多くの人に目にしてもらう必要があるのです。リスティング広告は、かつて画面の右側にも出ていたのですが、スマホの画面では表示できないことに加え、広告欄にはなかなか目を向けてもらえないという実態も合わさって、今のように一般サイトと同じ形式、位置に入るようになった経緯があります。今パソコンでがん情報を検索すると、右端にあった広告がすべて無くなり、すっきりした画面になっています。

ネットの広告は「広告と感じさせない自然な広告」が人気です。SNSに流れてくるネイティブ広告と呼ばれるものは、その際たるもの。形式が投稿と同じというだけでなく、中身にも広告的要素がなく、ためになる面白い内容のものもあります。何かを売るというよりも、企業のイメージアップなどを狙っているからです。そのため広告だと意識せずに「いいね」を押している人もたくさんいます。でもこれも広告なのです。

ネットを利用する限り広告はつきもので、そこに悪意のある者も入り込みます。それだけに広告に対して、利用者はもっと敏感にならなければいけないと私は思っています。

広告には必ず「広告」の表示をしなければならないので、ネットで情報を見る時は、まず広告表示のあるなしを確認する癖をつけることが大事です。お金を払って広告を出している側には、「買ってほしい」「来てほしい」など、当然何らかの思惑があります。その当たり前について今一度考えれば、見るべきなのかどうか、です。

さらに付け加えると、クリックで課金される、つまりクリックすることは広告に加担することでもある。そのことも頭に入れた上で、クリックするしないを考える必要もあるのです。こうした視点はネット教育という形で、もっと広めていかなければいけないところです。

医療に関しては、広告だとわかっても惹きつけられる側面があります。病気という重いものを抱えているということだけでなく、日本人は、医療の営利目的の広告に免疫がないからです。国民皆保険制度があるせいか、医療と営利が結びつきにくいのです。それでも自由診療の広告が増えてきているだけに、そろそろ商業的な医療の存在も認識していく必要があります。

今回の「Yahoo!検索」の改善は、広告の問題という課題はありますが、かなりの前進だと私は思っています。検索状況をさらに健全化することを求めるだけでなく、利用者側もネットの現状を知って対処する。医療情報の検索問題は、両輪で進めなければいけないと思います。

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