がんになっても 普通に生きる

がんについての理解 そしてがん患者への誤解をなくすために

思い込みをリセット

「がんは放置せよ」などと聞くと患者としては心が動きます。何もしなくていいなんて、天使の言葉だからです。そこで「そうだ!」と決めつけてしまわず、反対意見も含め、いろいろな情報に触れることは大事なことです。今も胸が溶けた状態で病院にやってくる患者さんが後を絶たないと聞きます。「なぜそんなになるまで」と残念に思います。もっと早くに治療を受けていれば、今頃元気に生活できている人もいるでしょうから。がん治療において、思い込みの強さはマイナス要素になります。心を柔軟にして自分にとってベストな治療を探りたいものです。

 

患者ブログと適度な距離(2015年4月号掲載

先日テレビで、ステージの進んだ状態で乳がんがみつかり、無治療を選択した女性が紹介されていました。彼女のブログも読みましたが、治療をしないことを、告知後すぐに決めたという点がとても気になりました。

今、「がんは放置するに限る」などと主張する本が売れていますが、そうした考えに賛同し、いっさいの治療をやめてしまった結果、がんが大きくなって皮膚を突き破り、悲惨な状態になった人が私の周りにもいましたし、患者ブログでも見られます。

こうなってしまうと、日々傷口の処置に追われて外出もままならないばかりか、幾度となく大出血も起こします。冒頭の女性もそうでしたが、こうした闘病生活が、果たして本当に望む形だったのか疑問です。せめて妥協できる範囲ででも治療を行っていたら、こんなしんどい思いをせず生活できていた可能性もあるだけに残念な気がします。

もちろん放置したらこういうことにもなり得るとわかった上で選ぶなら、それはそれでいいのですが、多くがこうしたリスクも知らずに選択し、あとからせめて手術だけでもすべきだったと後悔しています。

がんだと公言すると、私も体験しましたが、いろいろな人が好かれと思う情報を寄せてきます。民間療法に宗教がかったもの。私は宗教の誘いを断るのにとてつもないエネルギーを要しました。がん患者には善意の押し売りという魔物も現れることを、当事者になって知りました。

こうした「怪しい情報」に踊らされないためには、患者も勉強して正しい知識を持つしかありません。とはいえネット時代の今は、検索をかければ玉石混交の情報が出てくるため、混乱してしまう人も多いもの。やみくもにネットで情報を探すのも危険です。まずは病気の基礎知識を得られるサイトから始めることをお薦めします。

乳がんでいうなら、日本乳がん学会のサイト「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」が参考になります。ここには「乳がん患者さんのためのHPリンク集」も貼られていて、医療機関が運営するHPだけでなく、患者会や援助団体が運営するもの、体験者の声が紹介されているものなど、多様な情報窓口が紹介されています。

患者には医療情報だけでなく、実際に治療を受けた人の体験情報も役立ちます。私も患者ブログを参考に、麻酔を調整してもらい、手術後も快適に過ごすことができました。ただ体験情報もすべてを自分にあてはめると不安ばかりが高まります。自分と全く同じ状況の人などいないですし、発信している人はトラブル体験をした人も多いからです。自分に近い病状の人を数人探し、共通する部分を参考にする程度がほどよい距離感です。

情報に触れれば触れるほど、取捨選択の目も鍛えなくてはいけないと実感します。またがんは思い込まされている情報も多いので、一度自分の思い込みをリセットすることも大事です。そうすると、これまで素通りさせていた情報も目に留まるようになり、それが治療選択の幅を広げることにもつながります。患者の情報収集、次回も続きます

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さかゆうプロフィール

さかゆう

さかゆう

しゃべり手 たまに書き手。 ネット問題に取り組む消費生活アドバイザーでもある。母親を希少がんで亡くし、自身も 2014年に乳がん発覚。手術を行い 現在経過観察中。                      

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