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入院中も眠りたい

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入院中も眠りたい

病室で眠れぬ夜を過ごした人は多いのではないでしょうか。

私もその1人です。乳がんでの入院は10日。夜はほとんど眠れませんでしたし、昼間も全く眠くなりませんでした。昼夜とも眠気がこない日を重ねていくとだんだん不安になります。「こんなに眠らなくて大丈夫なのだろうか」と。

実際は明け方にウトウトしていたのかもしれませんが、自分では寝ている感覚がないまま朝を迎え、昼寝することもなくまた夜を迎えていたのです。

自宅に戻ると取り戻すかのように眠り続けました。今度は眠っても眠っても眠い日が続きました。睡眠負債が相当たまっていたようです。

病院には人を眠れなくする要因がたくさんあります。その代表が消灯時間です。

私が入院した病院は9時でした。普段の生活なら夕飯の後片付けを終えるか終えないかの時間です。本来まだ活動中の時間に、電気を消されて寝ることを強制されるのですから、眠れるはずがありません。眠くないのに横になっているとどんどん目が冴えてきます。回りの雑音も気になって、ますます眠りから遠ざかります。

この早すぎる消灯時間。見直す病院も出てきました。鳥取大学医学部附属病院では、今年8月から一部の病棟の消灯時間を10時に変えました。1時間遅くしたことで、ゆっくりと時間をかけて患者のもとに行き、落ち着いてケアできるようになるなど、患者のみならず医療スタッフにも良い効果が出ているそうです。

消灯前は洗面、排泄介助など仕事は多く、病棟によっては9時までに終えられない実態があります。10時になれば、余裕をもって患者の対応ができるようになります。

患者側も眠りにつくまでの準備がしやすくなり、熟睡感を得た人が増えたという調査結果も出ています。

「じゃあ、どの病院も10時にすればいい」と思ってしまいますが、調査によっては「9時のままがよい」と答える患者の割合が高かったところもあって、一律10時にすると、今度は9時に寝たい患者の不満が高まります。

9時派が多かった病院では、消灯は9時にするものの、デイルームを11時まで使えるようにしました。寝る時間を各自で選択できるため、患者の満足度は高まったそうです。

病室の睡眠環境を良くするための研究は企業も行っていて実用化も始まっています。

鹿島建設とNECネッツエスアイは共同で、大部屋の設備を患者の好みに合わせて自動制御する療養環境向上システム「NEM-AMORE(ネマモーレ)」を開発しました。

病室の環境を「音」「光」「温熱」という3つの観点から整えるというものです。

「音」では、就寝時には微弱な音を流して雑騒音を減らし、眠りに入りやすいようにします。
「光」では、朝型に照度を上げ、徐々に落とすことで夜間に眠りやすくします。
「温熱」では、就寝時に発熱量の多い頭側に微弱な風を送って眠りやすくします。

3つの観点から病室の環境を整え良い睡眠へと促していきます。このシステムは患者の睡眠データを蓄積し、その人にあった環境を作ることもできるといいます。費用の問題もあるのでどこまで導入できるかはわかりませんが、こうした病室なら眠れそうに思えてきます。

消灯時間を変更するだけでもナースコールの回数が減ったという調査結果もあります。患者の眠りの質が上がれば、医療スタッフの負担軽減につながるかもしれません。

入院中の患者の睡眠環境はもっと見直されてもいいのではと思います。

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